お寿司屋さんで飛びかう謎のことば…
『シャリ』『ガリ』『カッパ』など馴染みのあることばから、『あがり』『むらさき』『なみだ』など聞き慣れないことばまで、さまざまな業界用語・専門用語があります。「なぜそう呼ぶんだろう…?」と考えたことがある方、多いのではないでしょうか。
今回は、お寿司屋さんの業界用語の不思議な呼び名と、そう呼ばれるようになった由来をご紹介します。
お寿司屋さん用語いろいろ
寿司用語、ネタ名前、数字の読み方をそれぞれご紹介します。
寿司用語

あがり
お茶のこと。
江戸時代の遊郭で、お茶を『上がり花』と呼んでいたことから。
おあいそ(お愛想)
お勘定のこと。
『お愛想』は『愛想尽かし』を省略したことば。お会計の際、店側が「愛想がなくて申し訳ありません」という意味で使っていたのが由来。客側が使うのはタブーです。
ガリ
しょうがの甘酢漬けのこと。

食べると、ガリガリと音がすることから。
シャリ
酢飯のこと。
『シャリ』はサンスクリット語で遺骨を意味することば『sarira=舎利』が語源。仏舎利(お釈迦様の骨)が真っ白で米粒に似ていた、あるいは、無数に分骨された仏舎利が米粒ほどの大きさだったためという説がある。
なみだ
ワサビのこと。
ツーンとくると涙が出ることから。
ネタ
寿司の材料のこと。
寿司種の『タネ』を逆さにして『ネタ』と呼んだことが由来。
バラン
笹の葉などの、仕切りや飾りに使われる葉のこと。
葉蘭というユリ科の植物が由来。昔はこの大きな葉を切って、細工して使っていた。現在よく目にするのは、お弁当の仕切りなどに使われるプラスチック製のもの。
むらさき
お醤油のこと。
お寿司屋さんの醤油は『ニキリ』と呼ばれる特別な醤油を使っており、その色が紫がかっていたことが由来。
ネタの名前

いなり
稲荷寿司。おいなりさん。甘く煮た油揚げの中に酢飯を詰めたもの。

稲荷神の遣いである狐の好物に由来する。その昔、狐を捕まえる時に、ねずみの油揚げを使用していたことから、豆腐の『油揚げ』が稲荷神にお供えされるようになり、油揚げでつくったお寿司を『稲荷寿司』と呼ぶようになった。『狐寿司』とも言われる。
エンガワ
ヒラメやカレイのひれの付け根の筋肉のこと。

身の形が家の『縁側』に似ていることから。『縁側』は、家の『縁』という意味から、そう呼ばれるようになった。
片想い
アワビのこと。
「磯のあわびの片想い」という、万葉集に出てくる歌の一節に由来。アワビは貝の片方だけのように見えるため、『片想い』の『片』とかけている。
カッパ
カッパ巻き。キュウリの海苔巻きのこと。

河童の好物がキュウリであることから。
ガレージ
シャコのこと。
シャコ→車庫→ガレージというダシャレから。
ギョク
たまごのこと。
『玉子』の『玉』を『ギョク』と読むことから。
ゲソ
イカの足のこと。
下駄や草履などのことを言う『下足』を略して『げそ』ということから。
鉄火
鉄火巻き。マグロの海苔巻きのこと。江戸前寿司の一種。

マグロの赤身の色とワサビの辛さを、熱せられて赤くなった鉄のことをいう『鉄火』に見立てたことから。
トロ
マグロの脂身の多い腹部の身のこと。

肉質がトロリとしていて、口に入れるとトロっと溶けることから。
はかりめ
穴子のこと。
穴子の体には目盛りのような模様があり、姿形が魚市場で使われる『棒はかり』に似ていることから。
バッテラ
サバの押し寿司のこと。
『バッテラ』とはオランダ語で『ボート』のこと。形がボートに似ていることから。
光り物
コハダ、アジ、サンマ、イワシなどの青魚のこと。

背が青く、腹が白く光って見えることから。
数字の読み方

お寿司屋の職人さんが使う数字の数え方は、ちょっと変わっています。
1:ピン ポルトガル語の『pinta(点)』が由来
2:リャン 中国語で「2個」を意味する『両』から
3:ゲタ 下駄をの鼻緒が3カ所でとめられていることから
4:ダリ 江戸時代の駕籠かきが使っていた隠語
5:メノジ 『目』の字が5画だから
6:ロンジ 『六の字』がなまって
7:セイナン 時計の7がある場所が西南の方向だから
8:バンド はち→はちまき→バンド
9:キワ 一の位の端っこ=際の数字だから
10:ピンマル 1(ピン)と0(マル)
まとめ
いかがでしたでしょうか。
皆さんはいくつわかりましたか?
聞き慣れないもの、普段から使っているけれど、実はその由来を知らなかったものなどいろいろあったかと思います。
無理に使うことはありませんが、知っておくと通っぽいですよね!また、客側が使わない方がいいことばは、使わないように気をつけたいですね!