ガーデニング好きの多くの方が憧れている庭と言えば、『イングリッシュガーデン』と呼ばれるイギリス式の庭ではないでしょうか?
ヨーロッパのガーデニングには、大きく分けて、フランスの『フレンチフォーマルガーデン(フランス式庭園)』とイギリスの『ブリティッシュナチュラルガーデン(イギリス式庭園)』の2つの様式があります。
今回は、ガーデニングの2つの様式について解説していきます。
ガーデニングの歴史
植物は古くから人々に親しまれてきました。
最も古い記録では、紀元前14世紀頃のエジプトで庭園が作られていたとされる壁画が残されています。
古代ローマ帝国で発展したガーデニング技術は、イスラム帝国に受け継がれ、現在のインドやスペインに代表的な庭園を残しています。
ルネッサンス期になると、古代ローマ帝国のガーデニング技術が見直され、16世紀にイタリア式庭園が発展しました。その技術はフランスに受け継がれ、『フレンチフォーマルガーデン』が確立しました。
イギリスでは、イタリアやフランスの影響を受けつつも、自然な雰囲気や、田舎風の庭を好む風潮がうまれ、独自の庭園作りが発展していきました。こうして『ブリティッシュナチュラルガーデン』が確立されていきました。
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フレンチフォーマルガーデン(フランス式庭園)

イタリア式庭園の影響を受けて、17世紀にフランスで確立されたのが、『フレンチフォーマルガーデン』です。
- 整形美
- 平面的
- 左右対称
- 幾何学的なデザイン
- 整形された樹木
- 人工的
- 刺繍花壇(パルテール)
- 模様花壇
その特徴は一言で言うと、『整えられた庭』です。個々の草花を楽しむというより整形された美しさを観賞するために作られています。
フランスの平坦な土地を生かしたデザインで、広大な土地に軸線を設定し、左右対称に噴水や花壇、刈り込まれた樹木などを配置するのが特徴です。
ツゲなどの常緑低木で、アラベスク模様や幾何学模様などを再現した『刺繍花壇(パルテール)』や草花でさまざまな模様を描く『模様花壇』もフレンチフォーマルガーデンの特徴です。
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ブリティッシュナチュラルガーデン(イギリス式庭園)

17世紀にはイタリアやフランスの影響を受けた庭が流行しましたが、18世紀になると自然な雰囲気を大切にする庭作りが好まれるようになっていきました。
- 自然美
- 非対称・曲線
- 人工的なものを避ける
- 個々の草花を愛でる・特性を生かす
- 生活の中に自然を再現する
- 風景式庭園(ランドスケープガーデン)
- 絵画的庭園(ピクチャレスクガーデン)
- コテッジガーデン
- ボーダーガーデン
フレンチフォーマルガーデンとは対照的に、人工的に整えられた風景ではなく、季節ごとに移りゆくありのままの自然の美しさを楽しむために作られています。
自然をそのまま再現したような『風景式庭園(ランドスケープガーデン)』や、イギリス人が理想とする美しい絵画のような自然美を目指した『絵画的庭園(ピクチャレスクガーデン)』などの庭作りが特徴的です。
また、田舎風の家にナチュラルな庭を作る『コテッジガーデン』は、好きな花やハーブなどを植え、手の行き届く範囲で楽しむガーデンスタイルです。
建物や壁に沿って帯状に作られた『ボーダーガーデン』もブリティッシュナチュラルガーデンの特徴です。
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まとめ
整形された美しさを楽しむ『フレンチフォーマルガーデン』に対して、自然のありのままの美しさを再現する『ブリティッシュナチュラルガーデン』。正反対のガーデンスタイルですが、どちらも違った魅力があります。